主な見学先の計画をしようと動き始めた矢先に熊本で大地震が発生。おそらく建物見学どころではない状況。しかし、私の中では行き先を変更する選択はまったくなく、むしろ「私たちは建築士として、被災地の状況を見に行こう。」と。
とは言うものの、日々刻々と変化する被災地の状況、半年後私たちが訪れるころには現地がどうなっているかは誰もわからず、どのような行程を立てようかしばらく頭を悩ませていました。
折しも6月に熊本YMCA職員の大久保さん(益城町総合体育館避難所所長)とお会いする機会があり、その場で10月の避難所視察受け入れをお願いしました。さらに、被災地の仮設建築物の視察については、同じ北支部の秋好さんが、学生時代の先輩である現地の建築士、長野さんと連絡を取りあい、長野さんらが手がける仮設建築物視察と地元建築士の方々との交流の場を設けてもらうことになり、一日目の熊本の行程は決まりました。(一日目の報告については浅井支部長、秋好さんのレポートをご参照ください。)
そして、嬉野温泉から少し足を延ばすと長崎県に入るため、二日目の訪問先は長崎にしました。
午前中は平和公園周辺を見学、午後からは自由行動で市内散策をすることになりました。
私は教会や細い路地裏や坂道の散策をしましたが、住宅の間を縫うようにして存在する路地は公道なのか私道なのか区別しがたいところがあり、歩き進んでいくうちに個人の敷地に入ってしまい慌てて引き返すこともありました。
点在する教会、急坂、路地、目の前に海の見える風景は普段生活する名古屋とは全く違い、時間が許せば一日中歩きたい程でした。
また、今回宿泊した大正屋ではゆったりとした時間を過ごすことができました。天井高を抑えつつも広がりを感じるロビー、吉村障子と小さな桧浴槽のある客室、有田焼の器に盛り付けられた海の幸中心の料理に日本酒が進む、進む。男女それぞれ2か所ずつある浴場はそれぞれ異なる顔を持ち、入浴を楽しくしてくれます。そして何よりもこの宿はサービスと接客が素晴らしく、宴会の際、仲居さんが私たちの何気ない会話からニーズを的確にくみ取り、食事が終わるころには空いている客室が二次会用に使えるようセッティングされ(氷やグラスまでも無料で用意されていた)、さらに翌朝、宿泊客のいない特別室を何部屋か見学させていただく機会にまで恵まれ、気持ちよく宿を後にすることができました。
しばしば「北支部の旅行はスケジュールがタイトで忙しい!」との声が聞かれるとおり、今回も強行スケジュールでしたが、一般的なツアーとは一味違う、北支部らしい活動的な旅行になったのではと思います。
名古屋北支部 研修委員会 委員長 下村明子